検査分析士のキャリアを生かす
シニア検査分析士は検査分析士が定年退職後にそれまでの経験を生かすための資格です。
高度に複雑化した社会では、消費者が使用する電気製品から日用品、食事で口にする食品等についての安全性は機器分析等を使用した結果により保証されています。このような分析に携わる検査分析士が行う化学分析は温度や湿度などの一定の条件が整った場所で、決められた手順に基づいて分析機器を使って行われます。現在、分析の一連のプロセスの中で測定をするプロセスについては分析機器の自動化が進んでいますが、測定対象となる試料の前処理、試料調整や得られたデータを解析するプロセスでは経験と知識が必要です。
これに対して、現場で必要となる環境の保全のためのモニター、有害物質の有無、農産物、畜産業での診断や検査、災害時の水質等の安全性の確認等にも化学分析の必要性がまして、知識と経験をもつ人材が必要となる場面が増えています。このような現場での検査等に検査分析士のキャリアを生かすためにシニア検査分士資格を設けました。現場での簡易検査や分析の結果から実験室で行う細密な機器分析が必要となる状況も出てくる可能性があります。このような場面を想定したときに専門家として活動をするために活用をしてもらうことが狙いの一つです。
現在、国の定年退職後の制度は65歳からの年金支給となっていますが、企業や組織によっては60歳定年、65歳までの再雇用、さらに65歳以上の就労を認める等、一律ではありません。定年退職後の活動組織として発足した特定非営利活動法人分析産業人ネットでの経験では、定年後には本人の病気や、親や連れ合いの病気や介護、孫の世話等のライフイベントへの対応が予期せぬ形で発生することがあり、定年前に思い描いた希望の実現は簡単ではありません。特に自分自身の専門性を示すことが出来ないと業務委託を受けたり、アルバイトをすることさえ簡単ではありません。定年後に組織に所属することが出来ればいいですが、個人として活動をすることになると何らかの専門性を示すものが必要になります。 このような認識に立って、組織人から独立した個人になった方を対象とする資格として「シニア検査分析士」という資格称号を設けました。