機器分析の技術者は道具として分析機器を使う
分析機器で化学分析が試みられた20世紀の中葉には、分析機器の動作原理だけでなく、対象となる物質と光や電子との相互作用についても理解をする必要がありましたが、現在では、課題の解決の道具として利用する場合にはそこまで詳細を理解しなくて済みます。しかし、機器分析技術ではだれが分析をしても同じ結果を得るためには、単に分析機器で測定をするだけでは不充分なことが多いのです。また、得られたデータから正しい結果を導くためには別の科学や技術に関する知識も必要となることが多いのです。
このため、機器分析を生かす技術者が必要とされています。
20世紀後半の機器分析技術は、品質管理における歩留まり向上やコストダウン、環境計測での正確な数値データの収得が中心でした。今でも、その役割の重要性にかわりはありませんが、さらに現代社会の消費者の安全、安心を確保するために不可欠な検査技術として活用が期待されています。このような期待に答え、社会的な重要性をました機器分析技術を支えるための実務者の資格が検査分析士です
物質の成分を求める化学分析を支える現代の機器分析技術はスペクトロメーター(分光法)やクロマトグラフィー(分離法)にとどまらず、顕微鏡や物性測定等の機器で得られるデータを活用して、課題解決に取り組みます。このために機器分析技術を担う実務者は、目的である課題解決のテーマを理解し、得られた分析結果に基づいて課題解決につながる提案を行うことが望まれています。